作り続けて90余年 -文庫屋「大関」の文庫革について-
文庫革は、真っ白な牛革を使用し、独特な加工を施した工芸品です。
この独特な加工というのが他の工芸品には無い風合いを作り出しています。もちろん、ひとつひとつ手作業で加工されています。
まずは白革に型を押し (浮世絵柄、小紋柄、花柄、等、)一筆一筆、彩色を施し、漆で古びをつける行程をへて、 お財布や小物などに縫製して仕立てます。 漆で古びをつける行程は『錆入れ』(さびいれ)と呼ばれ、漆の他に真菰というイネ科の植物の胞子の粉が使用されています。
この『錆入れ』は、文庫革の製法の秘伝となっています。
昔ながらの『錆入れ』の製法で文庫革製作をしているのは、現在日本で文庫屋「大関」ただ一軒だけです。
人の手による丁寧な仕事で、温もりある商品ををお届けしています。
ひと筆ひと筆手作業で…
もちろん、彩色はすべて一筆一筆手作業によるもので、文庫革の専門職人の手によるものです。
柄により、筆さばきを変えながら彩色を施せるのも、手作りならでは。
柄のバリエーションも、現在製作しているものに限っても、100柄程度ございます。
ヌメ革を使用したレザークラフトと違い、ソフトな皮革を使用し、時間をかけて型押しをしていますので、お使いいただいている間の手になじむ独特の使用感も感じていただくことが出来ます。
色作りの配合や、色の再現性も職人の技術を要します。
白黒を含めて8色の元色から、職人の感覚を頼りに色を混ぜ合わせ、熟練の手技で繊細に仕上げていきます。
無限に生み出される色から「これ」という色を作り出し、柄の個性を最大限に生かす彩色を施します。
手に取る皆様の好み、個性がそれぞれ異なるように、様々な個性の光る柄を沢山ご用意しております。
大勢の手を経て紡ぐ革工芸
こちらでは文庫革の製造工程を紹介いたします。
1つのお財布が出来上がるまでに、20人以上の人の手がかかっています。
工業製品のように全て同じに画一的ではないことが、手作りの物の持つ魅力の1つです。例えば、筆の跡、筆のはらいやぼかし感、多少の差も一期一会の出会い、可愛さと思って頂ければと思っています。
しかし、作り方は頑なに手技を伝承しながら、職人たちが使う方に喜んで頂けるように丁寧に作っています。
1.裁断から型押し
文庫革用に鞣した白革をアイテムごとのサイズに合わせて切り出し、型押しを施します。
大きな白い革に金属の抜き型をあて、プレスして裁断します
クリッカーで金型をプレスします
温めた金属の版に革とフェルトを乗せて、柄を型押し
プレスして、じっくりと柄の凹凸を革に移します
取り出してみるとこの通り
しっかり凹凸の型が入れば素押しの白革の完成です
2.彩色
自分の工房で彩色をする職人や、社内の工房で彩色をするスタッフ。それぞれが一筆一筆丁寧に彩色を施します。
一筆ずつ丁寧に
ぼかしの加減も職人技です
細かな部分も筆先で色をのせていきます
筆を持ち替えて、ぼかしていきます
たった8色の絵の具から数百の色を作ります
色の再現性も重要な技術
筆もこの通り何百もの色に合わせて
繊細で根気のいる作業が続きます
3.錆入れ
文庫革の肝である錆び(古美)を付ける作業です。
錆び入れに使う真菰です
漆を使って、真菰の粉を留めます
柄の輪郭が徐々に見えてきます
現場は真菰の粉で真黒になります
4.仕上げ
更に工程を進め革を美しく、丈夫に仕上げていきます。
文庫革の出来映えのチェック
革を保護するコーティングをします
錆びの手直しもて手作業です
最後のクオリティチェックは念入りに
5.お財布や小物に仕立てる
国内の縫製職人が一つ一つ作り上げています。
今日大変希少な国内の革小物の縫製職人
丁寧にミシンをかけています
検品は彩色職人を中心に行っています
きれいに拭いて、検品も終盤
文庫革についての説明書きを入れて…
箱に入れたらお客様のもとへ
↑ページの一番上に戻る