マコモって何?
文庫屋「大関」の文庫革に欠かせないのが、真菰(マコモ)です。
聞きなれない言葉だと思いますが、文庫革の型押しの凹んだ部分、絵柄のアウトラインを描く茶色い線、この色こそが真菰の生み出す色なのです。
聞きなれない言葉だと思いますが、文庫革の型押しの凹んだ部分、絵柄のアウトラインを描く茶色い線、この色こそが真菰の生み出す色なのです。
文庫革の柄を描く茶色い線
真菰という植物
真菰は、アジアにおいて古くから食料や工芸の材料として、また神事においても使われてきた”イネ科”の植物です。
湖畔や河川敷に群生し、8月頃には、1~2メートルの高さにまで育ちます。
湖畔や河川敷に群生し、8月頃には、1~2メートルの高さにまで育ちます。
人の背より大きく育つ真菰
古代からある真菰
日本では、稲作文化が伝わる以前の縄文時代より、食料にしたり屋根を葺いたりなど、衣食住すべてにおいて利用されてきました。
祝い事などで見る、日本酒の四斗樽を包む”菰被り(こもかぶり)”や、冬の金沢の風物詩、菰掛け(こもかけ)などは、いずれも真菰が語源の言葉です。
お盆の時にお供えを飾る盆ゴザ、精霊馬や精霊船などを作る風習も、近年まで各地にありました。
出雲大社では、毎年6月に「真菰祭り」という神事も行われ、歴史のある神社では、今でもしめ縄として使われています。
昔から、日本人の暮らしと切っても切り離せない存在であった植物、それが”真菰”なのです。
祝い事などで見る、日本酒の四斗樽を包む”菰被り(こもかぶり)”や、冬の金沢の風物詩、菰掛け(こもかけ)などは、いずれも真菰が語源の言葉です。
お盆の時にお供えを飾る盆ゴザ、精霊馬や精霊船などを作る風習も、近年まで各地にありました。
出雲大社では、毎年6月に「真菰祭り」という神事も行われ、歴史のある神社では、今でもしめ縄として使われています。
昔から、日本人の暮らしと切っても切り離せない存在であった植物、それが”真菰”なのです。
真菰農家の水田
漆芸における真菰
例えば鎌倉彫。
美しい朱色の漆塗り、豪華な彫刻の陰影を表現する、茶色の粉状の表情に注目したことはありますか?
あれも真菰です。鎌倉彫では、真菰蒔きという工程で、漆器表情をもたらし、古めかしく奥行きのある美しさを与えています。
美しい朱色の漆塗り、豪華な彫刻の陰影を表現する、茶色の粉状の表情に注目したことはありますか?
あれも真菰です。鎌倉彫では、真菰蒔きという工程で、漆器表情をもたらし、古めかしく奥行きのある美しさを与えています。
鎌倉彫のブローチ
今、真菰が注目されている?!
そんな、歴史ある真菰ですが、生育に適した湖沼が護岸工事などで埋め立てられ、河川敷が少なくなるにつれ廃れてきました。
稲作の副産物としてイネの藁が豊富に手に入るため、逆に真菰が入手できなくなってきたのです。
工芸用の真菰農家に至っては、現在、日本に一軒だけとなり、後継者育成の課題もあります。
時代の変遷とともに人々に忘れられかけていくかに見えた真菰ですが、湖沼などの水質浄化に役立つことが分かり、今、再び注目されるようになりました。
中華食材の”マコモダケ”としてデパートなどでも扱われるようになり、食材としての知名度も上がってきました。
稲作の副産物としてイネの藁が豊富に手に入るため、逆に真菰が入手できなくなってきたのです。
工芸用の真菰農家に至っては、現在、日本に一軒だけとなり、後継者育成の課題もあります。
時代の変遷とともに人々に忘れられかけていくかに見えた真菰ですが、湖沼などの水質浄化に役立つことが分かり、今、再び注目されるようになりました。
中華食材の”マコモダケ”としてデパートなどでも扱われるようになり、食材としての知名度も上がってきました。
乾燥中の真菰
マコモダケを食べる
中華街や、道の駅で売られている事も多くなってきた真菰は、台湾やベトナムなど、アジアではメジャーな野菜です。
触感や色、形がタケノコに似ているために、食材としての真菰を”真菰竹(マコモダケ)”と言います。
ホワイトアスパラやヤングコーンに似た歯ごたえや香りで、天ぷらや炒め物、筑前煮などに入れてもおいしい食材です。
アクもないので生でも食べられ、デトックスにも良いと言われています。
触感や色、形がタケノコに似ているために、食材としての真菰を”真菰竹(マコモダケ)”と言います。
ホワイトアスパラやヤングコーンに似た歯ごたえや香りで、天ぷらや炒め物、筑前煮などに入れてもおいしい食材です。
アクもないので生でも食べられ、デトックスにも良いと言われています。
生の真菰
煮物
ベーコン炒め
酢味噌和え
肉巻き
きんぴら
黒穂菌(くろぼきん)という不思議
マコモズミという言葉を聞いたことはありますか?
その昔、油で練って眉墨に利用されていたというマコモズミ。
その正体は、黒穂菌という菌の胞子で、真菰に着いて成長とともに増殖していきます。
その昔、油で練って眉墨に利用されていたというマコモズミ。
その正体は、黒穂菌という菌の胞子で、真菰に着いて成長とともに増殖していきます。
乾燥前の工芸用真菰
黒穂菌と工芸用真菰
黒穂菌のついた真菰は鞘葉(または子葉鞘)と呼ばれる葉の付け根部分が肥大してくるので、若いうちにその部分を食用としますが、
さらにそれが成熟し菌が繁殖すると、黒い色素が増して全体が枯れ錆びたような色合いになってきます。
そうなると食用には向きませんが、その莢を乾燥させることで、粉状になった黒穂菌を採取することができます。
これがいわゆる、真菰の粉(マコモズミ)です。
真菰が育んだ黒穂菌の微細な胞子。その粉が、細部にこだわる日本の美術工芸品に、味わい深い陰影をもたらしてくれます。
そうなると食用には向きませんが、その莢を乾燥させることで、粉状になった黒穂菌を採取することができます。
これがいわゆる、真菰の粉(マコモズミ)です。
真菰が育んだ黒穂菌の微細な胞子。その粉が、細部にこだわる日本の美術工芸品に、味わい深い陰影をもたらしてくれます。
鞘の中に真菰粉がたくさん
錆入れ中の文庫革
文庫革の影の主役
文庫屋「大関」の文庫革も、
この”真菰”を、漆と組み合わせて型押しされた溝に丁寧に擦り込み、独特の”古び”を出すことに使われています。
その配合と組み合わせは、文庫屋「大関」伝来の手法で、もちろん門外不出となっています。
気温や湿度の管理、作業のスピードなど、熟練の職人でなければできない緻密な作業によって、プリントでは出せない”古び”と、あたたかみのある輪郭を表現することが可能となるのです。
その配合と組み合わせは、文庫屋「大関」伝来の手法で、もちろん門外不出となっています。
気温や湿度の管理、作業のスピードなど、熟練の職人でなければできない緻密な作業によって、プリントでは出せない”古び”と、あたたかみのある輪郭を表現することが可能となるのです。
漆と真菰を扱う職人の技
一期一会
華やかな彩色部分だけではなく、型押しから錆入れまで全て手作業で作られる文庫屋大関の文庫革。
黒い真菰粉をまぶされた革を丁寧に拭きあげると、灰の中から蘇る不死鳥のように、美しい柄が浮かび上がってきます。
大量生産品と違い、1点ごとに異なる表情があるのは、文庫屋「大関」の製品を複数お持ちの方なら、もうご存知のことでしょう。
同じ形、同じ柄。それでも、文庫革のひとつひとつが違う顔。一期一会の出会いです。
黒い真菰粉をまぶされた革を丁寧に拭きあげると、灰の中から蘇る不死鳥のように、美しい柄が浮かび上がってきます。
大量生産品と違い、1点ごとに異なる表情があるのは、文庫屋「大関」の製品を複数お持ちの方なら、もうご存知のことでしょう。
同じ形、同じ柄。それでも、文庫革のひとつひとつが違う顔。一期一会の出会いです。
錆入れ仕上げ
真菰の未来と文庫屋「大関」
一般的には、まだまだ認知度の低い真菰ではありますが、日本人の生活に昔から寄り添ってきた植物です。
日本の伝統工芸を守る立場から、当店、文庫屋「大関」は、開業90年を越える伝統工房として、これからも真菰と共に、真菰の美点を活かした製品作りを心がけ、その恩恵を次の世代にも伝えて行けるような取り組みを続けていきたいと考えています。
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